2017 年 66 巻 3 号 p. 588-591
リバース型人工肩関節置換術(以下,RSA)後にグレノスフィア(以下,GS)が脱転した症例を経験した.症例は75歳女性で2014年11月,左RSAを施行した.術後経過に問題なく,JOAscore(80点満点)は術前18点から術後75点に改善していたが,軸位X線像ではGSがベースプレートに完全に入っていない状態であった.術後1年半の定期フォロー時のX像でGSの脱転glenosphere dissociationを認め,観血的整復を要した.GSの接続についてはモールステーパー固定とスクリュー固定とに別れる.本症例ではglenosphere dissociationを起こした後も疼痛や挙上困難などの訴えがなく,ベースプレートとインサートが接触した状態であったことから,本症例のようにモールステーパー固定のRSAでは術後経過中にGSの浮き上がりを認めた場合,待機せずに早期に再手術が必要と考える.