整形外科と災害外科
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肋骨骨折変形癒合後に生じた弾発肩甲骨の1例
山縣 大樹住浦 誠治山本 学吉田 紘二明石 浩介吉村 健
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2017 年 66 巻 3 号 p. 619-621

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抄録

【目的】弾発肩甲骨は肩甲胸郭関節の非適合に伴い轢音を生じる病態である.様々な原因で生じるが,今回,肋骨骨折の変形癒合に伴う弾発肩甲骨の1例を経験した.【症例】65歳,女性.4か月前に左鎖骨骨折および左第三肋骨骨折を受傷した.近医で保存的治療を受けたが2か月前より左肩関節の挙上・下垂時に轢音・疼痛が生じたため当科紹介された.左肩関節最大挙上から下垂時に弾発とともに疼痛が生じ,これが患者を最も悩ませていた.CTでは第3肋骨骨折部が隆起して癒合しており,これが最大外転時では肩甲骨上角部の上方に現れ,下垂時では肩甲骨下に潜り込んでいた.これが弾発の原因と考え,第3肋骨骨折部の隆起部の形成術を行った.術後肩甲骨の弾発と疼痛は消失した.【考察】肋骨骨折変形癒合に伴う弾発肩甲骨の報告は稀である.しかし弾発の原因が他に考えられない場合,変形癒合部の形成術は治療として有効と考える.

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© 2017 西日本整形・災害外科学会
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