整形外科と災害外科
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肩甲部に発生したガングリオンの治療経験
橋本 卓田中 宏明
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2017 年 66 巻 3 号 p. 622-626

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抄録

肩甲部ガングリオンと診断した6例の治療経験を報告する.うち5例は傍関節唇嚢腫であり,1例は肩甲骨骨内ガングリオンであった.男性3例,女性3例,平均年齢は38.2歳(18―63歳)であった.主訴は右肩の鈍痛,脱力感などであった.2例に肩関節の不安定性を認めた.傍関節唇嚢腫の3例に肩甲上神経麻痺によると思われる棘下筋萎縮と外旋筋力の低下を認めた.肩甲骨骨内ガングリオンの症例の主訴は右前胸部痛であり,筋力低下は認めなかった.MRIで棘下筋の輝度変化を2例に認めた.傍関節唇嚢腫に対しては術前のMRIで最も関節包に接していると思われる部位を予想し関節鏡視下に関節包切開を行い,ガングリオンの内容物とみられる黄色の粘稠な液体の流出を確認した.肩甲骨骨内ガングリオンに対しては直視下に掻爬を行った後,人工骨を充填した.全例で術前の筋力低下や肩の愁訴は改善し経過良好である.

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© 2017 西日本整形・災害外科学会
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