2017 年 66 巻 4 号 p. 707-709
今回我々は右大腿神経麻痺様症状を呈した頸椎後縦靱帯骨化症を経験したので報告する.症例は48歳女性で主訴は右大腿の痺れ,脱力,歩行障害である.当院受診2日前に風呂上がりに急に右膝の脱力感が出現した.受診1日前,右臀部痛も出現し,起立,歩行困難となったため近医を受診し,当院紹介となった.初診時,右大腿前面の知覚鈍麻,右股関節と膝関節の筋力低下を認め,起立,歩行困難であり,軽度の排尿障害と残便感があった.腰椎MRIでL4/5に椎間板ヘルニアを認めたが症状とは合致しなかったため入院精査したところ,C5/6を中心とした頚髄の圧迫を認めた.CTMを行うと圧迫の主因は後縦靱帯骨化であった.症状の発現状況や画像所見と症状の乖離から当初手術は躊躇したが,本人の希望ありC3-7の後方除圧術を行った.術後症状は消失し,経過良好にて術後2週で退院した.