整形外科と災害外科
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簡素な院内アナウンスメントにより,犬猫咬傷におけるβラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン製剤の使用率は上昇するか?
井上 三四郎富永 冬樹
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2017 年 66 巻 4 号 p. 788-791

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抄録

犬猫咬傷においては,βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン製剤の使用が推奨されている.以前,我々は当院での犬猫咬傷の現状を知るために,2013年4月から2014年9月までに加療した46例の犬猫咬傷を報告した(富永冬樹,井上三四郎.整外と災外,64:685~689,2015).この報告の中で,45例中13例(28.8%)にしか推奨抗菌薬は選択されていなかった.2015年9月に1枚の治療フローチャートを作成し救急外来に配布した.その後の推奨抗菌薬の選択率を調査した.対象は,2015年9月から2016年6月までに当院を受診した24例(男性5例,女性19例,平均年齢63.8歳.犬咬傷21例,猫咬傷3例)であった.当院での抗菌薬処方がなかった4例を除くと,推奨抗菌薬は13例(65%)に投与されており,既報と比べて有意に増加した.つまり,簡素なアナウンスメントにより,犬猫咬傷における推奨抗菌薬の選択率は上昇した.

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© 2017 西日本整形・災害外科学会
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