2017 年 66 巻 4 号 p. 847-850
近年,高齢化社会に伴い不安定型大腿骨近位部骨折は増加傾向であり,その治療については各学会で議論がなされている.我々は大腿骨転子部骨折(AO分類31-A3-2)に対して,Short Femoral Nailにて骨接合を行い,術後6ヵ月で外傷起点なくラグスクリュー刺入部でのインプラント折損をきたした症例を経験した.術後偽関節を生じた大腿骨転子部骨折(AO分類31-A3)・転子下骨折症例においてラグスクリュー刺入部でのインプラント折損報告は散見され,Long Nailや人工骨頭への置換が行われている.本症例も同様に,インプラント抜去しLong Nailへの置換を行った.不安定型大腿骨転子部骨折に対しては,内固定材料を熟考し術中整復操作の工夫と慎重な後療法が必要と考える.