2017 年 66 巻 4 号 p. 867-872
【目的】運動器不安定症に対して,BEARによるバランス能力改善への効果について,晩期高齢4症例での検討を行った.【対象と方法】当院で運動器不安定症と診断されBEARプログラム計16回を完遂した4例.男性2例,女性2例.平均年齢は86.5歳であった.バランス評価としては快適歩行速度(m/分),Timed Up & Go Test(TUG)(秒),Berg Balance Scale(BBS),歩行能力(FIM)を,プログラム開始前・後に計測した.【結果】BEARにより快適歩行速度:40.2 m/分→48.3 m/分,TUG:22.9秒→16.7秒,BBS:37.5→46.8,FIM:5.5→6と全ての項目が改善した.【まとめ】BEARはゲーム性を持たせた多重課題を同時集中的に行うバランス訓練用のロボットである.今回,晩期高齢者にBEARを用いたところ,晩期高齢症例のバランス練習において,意欲の維持,バランス能力の改善,そして治療効果の均一性に関して有用であると考えられた.