整形外科と災害外科
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小児肘関節分散脱臼の1例
岩永 壮平平川 洋平南谷 和仁志波 直人
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キーワード: 分散脱臼, 肘関節, 小児
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2018 年 67 巻 1 号 p. 143-146

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抄録

(はじめに)腕橈関節・腕尺関節・近位橈尺関節が同時に脱臼する肘関節分散脱臼は稀であるが,今回我々は本脱臼を生じた1例を経験したので報告する.(症例)7歳女児,路上で転倒し左肘関節痛を訴え当院受診.単純X線正面像において橈骨近位部が外方に転位し,腕橈関節脱臼および近位橈尺関節の脱臼を認め,また側面像では橈骨近位部及び尺骨は後方に脱臼(腕尺関節脱臼)していた.肘関節横分散脱臼と診断し透視下に徒手整復を施行.整復後に肘関節90°屈曲位,前腕回内・外中間位で外固定を3週行い,自動運動を許可した.整復後8カ月の現在,疼痛や可動域制限はなく,また再脱臼・不安定性を認めず経過良好である.(考察)肘関節分散脱臼は,前後分散脱臼・横分散脱臼・集合脱臼に分類され,渉猟しえた限りでは横分散脱臼の報告が多く,ほとんどは容易に徒手整復され保存的加療により良好な結果が得られている.小児の肘関節脱臼は分散脱臼である可能性があり注意を要する.

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© 2018 西日本整形・災害外科学会
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