整形外科と災害外科
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修復不能な広範囲腱板断裂に対する筋移行術
南川 智彦柴田 陽三伊﨑 輝昌藤沢 基之篠田 毅熊野 貴史三宅 智柴田 光史
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2018 年 67 巻 1 号 p. 5-10

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抄録

【目的】壮年の修復不能な広範囲腱板断裂に筋移行術を施行.成績と問題点について報告する.【方法】症例は男性5例,女性1例,平均年齢56.8歳,平均術後観察期間は105.8ヵ月である.全麻下に側臥位で施行.全例広背筋移行を施行し,修復不能な肩甲下筋腱断裂合併の2例に大胸筋移行術を併用した.広背筋は肩甲骨の下角起始部を切離し,骨頭を越えて肩甲下筋腱の上縁に届くように,筋腹深層を十分に剥離した.広背筋の外縁は大結節に,断端は肩甲下筋腱に縫合した.大胸筋移行は切離した腱を鎖骨枝,胸骨枝共に合同腱の上で小結節に縫合した.【結果】術前の挙上角度は73.3度,外旋24.2度,内旋L2で,術後は115.8度,40.0度,L2であった.術前のJOA scoreの疼痛スコアは7.5点,合計点は52.3点,術後はそれぞれ20点,70.9点であった.2例で挙上の改善がみられず,内1例にRSA施行.成績良好例でも,大結節の摩耗は進行した.【結論】本術式は,侵襲は大きいものの,患者背景に留意すれば良好な結果が得られるものと思われた.

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© 2018 西日本整形・災害外科学会
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