整形外科と災害外科
Online ISSN : 1349-4333
Print ISSN : 0037-1033
ISSN-L : 0037-1033
橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレート固定術後の長母指伸筋腱断裂の検討
松山 金寛堀之内 駿海江田 光祥高橋 建吾田邊 史東郷 泰久小倉 雅佐々木 裕美小宮 節郎
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 67 巻 1 号 p. 90-93

詳細
抄録

近年,橈骨遠位端骨折における掌側ロッキングプレートを用いた術後合併症としての長母指伸筋腱断裂が散見され,その原因として,スクリューの背側突出,背側天蓋骨片や背側皮質のsharp edge等による腱の摩耗が報告されている.我々は,2010年4月から2017年3月までに橈骨遠位端骨折に対し掌側ロッキングプレートを用いて手術を行った238例中長母指伸筋腱断裂を発症した4例に対し,検討した.平均年齢は64.8歳で,男性1例,女性3例であった.骨折型は背側転位型1例,掌側転位型3例であった.全例スクリューの背側突出は認めず,背側天蓋骨片を1例,背側皮質のsharp edgeを3例に認めた.橈骨遠位端骨折後の長母指伸筋腱断裂は,転位の少ない保存的加療における合併症の一つとしてもよく知られているが,手術を要するような骨折型でも頻度は低いがEPL腱断裂は発症する.術前の画像評価,手術手技に注意を払うだけでなく,慎重な経過観察や術前の十分なインフォームドコンセントが必要である.

著者関連情報
© 2018 西日本整形・災害外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top