2018 年 67 巻 2 号 p. 288-291
【目的】骨粗鬆症診断における腰部椎体骨折評価の重要性を調査する.【方法】腰椎X線検査とDXAによる骨密度測定を受けていた265例を腰部(Th11~L5)椎体骨折の程度により,N群(椎体骨折なし),F群(SQ-Grade 2以下の椎体骨折1個),SF群(SQ-Grade 3,または2個以上の椎体骨折)の3群に分け,腰椎,Total hip,大腿骨頸部の骨密度,および骨密度が正常で腰部椎体骨折を認めた症例の割合を調査した.【結果】骨密度は腰椎,Total hip,大腿骨頸部ともN群,F群に有意差なく,SF群はF群比べ有意に低値であった.測定部位別の骨密度が正常で腰部椎体骨折を認めた症例の割合は腰椎31.7%,Total hip 24.8%,大腿骨頸部15.8%であった.【結論】骨粗鬆症の診断は脆弱性骨折の評価なしに骨密度(特に腰椎骨密度)のみで行うべきではない.腰椎X線像のよる既存腰部椎体骨折の評価は骨粗鬆症の診断に重要である.