【目的】TKA術後は十分に膝関節機能(臨床評価と運動機能)を再建しているかを調査する.【方法】膝関節X線検査と運動機能検査を受けていた65~85歳の612例の外来通院患者を対象に,重症側膝関節のK-L分類を参考に,N群:膝OAなし(n=82),M群:軽度膝OA(n=82),S群:高度膝OA(n=190),UT群:片側TKA(n=115),BT群:両側TKA(n=143)の5群に分類.JOA Score,JKOM,膝屈曲角度,膝伸展筋力,下肢筋量,TUG(Timed Up & Go Test),OLST(One Leg Standing Time)を比較検討した.【結果】UT群,BT群は全ての項目でM群より劣っており,UT群の膝伸展筋力とTUG以外は有意差を認めた.BT群のOLSTはS群より有意に劣っていた.【結論】TKA例は全ての項目で軽度OA例に及ばず,「高齢者の正常膝」を再建できるとは言い難い.