整形外科と災害外科
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TKA術後のfabellaが原因と考えられる腓骨神経麻痺の1例
中山 恵介小澤 慶一
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2018 年 67 巻 3 号 p. 465-468

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抄録

TKA術後にfabellaが腓骨神経麻痺の原因と考えられる1例を経験したので報告する.症例は79歳男性,右変形性膝関節症のためTKA施行した.術後4時間後から右足関節背屈不良と右下腿外側から足背にかけて知覚障害が出現した.術前X線とMRIで右大腿骨外顆後面にfabellaを確認しており,同部位にTinel徴候を認めた.fabella症候群を疑う病歴もあり,fabellaによる腓骨神経麻痺を考慮してTKA翌日にfabella摘出術施行した.術野では明らかな腓骨神経損傷を認めなかったが腓骨神経直下にあるfabellaが神経を後方へ圧迫していたため摘出した.術後1か月で麻痺症状は完治した.fabellaによる腓骨神経麻痺は以前から報告されており,TKA術後の症例も含まれていた.正常膝と変形性膝関節(OA膝)でのfabella出現率は有意差があり,OAのstage進行により出現率とサイズが上がるという報告もある.OA進行したTKA適応症例ではfabellaによる腓骨神経麻痺が生じる可能性がある.

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© 2018 西日本整形・災害外科学会
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