整形外科と災害外科
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手舟状骨脱臼の1例
中村 厚彦尾上 英俊
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2018 年 67 巻 3 号 p. 597-600

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抄録

手舟状骨脱臼の1例を経験したので報告する.症例は24歳男性.作業中に重量物を持ち上げるアームに左手関節を両側から挟まれて受傷した.単純X線像で左手舟状骨は橈側に脱臼し,矢状面では近位側が背側に転位していた.また月状骨の背屈変形を認めた.初療時に静脈麻酔下に徒手整復を行い舟状骨脱臼は整復されたが,舟状月状骨解離を認めた.受傷後2日で手術を行った.直視下に整復位を確認し経皮的鋼線固定を行い,舟状月状骨靱帯を縫合した.術後は約5週間のthumb spica cast固定を行った.術後3か月で疼痛及び可動域制限は認めず短期経過は良好であった.舟状骨単独脱臼の受傷機転としては手関節の背屈・尺屈強制により舟状骨が橈側・掌側に脱臼するものが多いとされているが,本症例のように橈側・背側に転位するものは稀である.若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2018 西日本整形・災害外科学会
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