2018 年 67 巻 4 号 p. 722-725
【目的】椎体骨折後の新規椎体骨折の発生を調査すること.【対象と方法】当院で椎体骨折に対して保存加療・骨粗鬆症治療(PTH製剤)を行い,2年以上経過観察している104例(男性23例,女性81例,平均年齢79.6歳)を対象とした.新規椎体骨折の発生と時期,遅発性麻痺,偽関節などによる手術の有無,既存椎体骨折数を調査した.【結果】新規骨折は4.8%(5例)に認め,うち2例は治療開始3カ月以内に新規骨折を認めた.手術に至る症例はなかった.既存椎体骨折は0椎体:46例,1椎体:16例,2椎体13例,3椎体以上29例で,新規骨折を起こした5例のうち4例(80%)は3個以上の既存椎体骨折を認めた症例であった.【考察】受傷早期からの保存加療及びPTH製剤を用いた骨粗鬆症治療は新規骨折を低減し,手術を回避できる可能性がある.