2018 年 67 巻 4 号 p. 738-741
【はじめに】片側特発性大腿骨頭壊死の発症15年後に反対側に大腿骨頭壊死を生じた症例を経験した.【症例】56歳,男性.41歳時にMRI,骨シンチグラフィー等により左大腿骨頭壊死の診断を受け当院で大腿骨内反骨切り術を施行した.当時約15年の飲酒歴があり焼酎3~4合をほぼ毎日飲酒していた.ステロイド使用歴はなかった.その後も焼酎2~3合をほぼ毎日飲酒し続けており56歳時に右股関節痛出現,近医でMRIにて右大腿骨頭壊死の診断を受け手術希望で当院受診.早期社会復帰の希望が強く人工股関節全置換術を行った.【考察】特発性大腿骨頭壊死症は片側発生後2年を超えて反対側に発生することは稀とされている.今回片側発症15年後に反対側に発症した症例を経験した.アルコール性大腿骨頭壊死は,飲酒の継続が反対側発生につながる可能性を示唆する報告がある.本症例も片側発生後に飲酒が継続され反対側発生の一因になったと考えられた.