整形外科と災害外科
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初回人工股関節全置換術予定患者の術前CRP値上昇をどう考えるか
中山 大資樋口 健吾隈元 真志本家 秀文馬渡 正明
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2018 年 67 巻 4 号 p. 746-748

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抄録

「はじめに」近年,人工股関節全置換術(THA)の手術件数は増加傾向にある.THA術後感染は患者の機能予後を著しく低下させるため,その予防や早期の発見,治療が重要である.今回,明らかな誘因なく術前にCRP値が上昇している患者について,CRP陰性群と比較検討を行い,治療方針に関して検討した.「対象と方法」2012年4月から2017年3月に当院で行った初回THA 527例を対象とした.外傷例・高位脱臼性股関節症(Crow分類ⅢorⅣ),急速破壊型股関節症,大腿骨頭壊死症,反対側が進行期以上の変形性股関節症例,関節リウマチを含む膠原病合併症例を除外した125例125股を対象とした.そのうち,CRP陽性群は25例25股であった.同期間にTHAを行った患者で除外例を除いた術前CRP陰性群100例100股を比較対象とした.2群間で性別,年齢,BMI,病期分類(JOA),術後CRP値の推移,術前夜間痛の有無について比較した.「結果」BMI,術前の夜間痛の有無で2群間に有意差を認めた.また,有意差は認めなかったがCRP陽性群はCRP陰性群に比べて術後2週間までCRPが高かった.CRP陽性群で術後感染を来した症例はなかった.「結語」THAに際して,術前CRP陽性例については感染を否定した上で手術を行い,術後も注意深く経過観察していく必要がある.

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© 2018 西日本整形・災害外科学会
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