整形外科と災害外科
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脛骨顆外反骨切り術(TCVO)後の屈曲可動域悪化例の検討
相良 学米倉 暁彦岡崎 成弘中添 悠介千葉 恒尾﨑 誠
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2019 年 68 巻 1 号 p. 1-4

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抄録

【はじめに】我々はKellgren-Lawrence grade3,4の内側型変形性膝関節症に対して脛骨顆外反骨切り術(TCVO)を行っているが,術後に屈曲角度が悪化する症例があるため,その原因を検討した.【対象と方法】2007年から2016年までにTCVOを行った81膝(平均年齢61.3歳,男性23膝,女性58膝)を対象とし,術前および術後1年の屈曲可動域とX線学的パラメーターとの関係を調査した.【結果】平均屈曲角度は術前135度,術後135度だった.術後屈曲角度が術前より悪化した群は27膝,変化なしまたは改善した群は54膝であった.両群間に有意差があったのは術前%Mechanical Axis(%MA),術前後%MA変化量,術前Joint Line Convergence Angle(JLCA),術前後JLCA変化量であった.性別,年齢,術前屈曲角度,術後%MA,術前modified Blackburne-Peel ratio(mBP),術後mBP,術後Posterior Tibial Slope(PTS),術前後PTS変化量に有意差はなかった.【考察】TCVOでは,術後膝関節屈曲悪化の原因として膝蓋大腿関節の影響は少なかった.術後屈曲悪化群では%MAとJLCAの術前後変化量が大きく,矯正量が大きい場合に術後膝関節屈曲悪化が生じる可能性がある.

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© 2019 西日本整形・災害外科学会
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