整形外科と災害外科
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TKA術後感染とaseptic looseningの鑑別に難渋した1例
川内 健寛今村 勝行中村 俊介藤元 祐介廣津 匡隆栫 博則谷口 昇
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2019 年 68 巻 1 号 p. 123-125

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抄録

本邦で施行されるTKAの約3%が再置換術である.2大要因は人工関節周囲感染(以下PJI)とaseptic looseningである.今回我々は両者の鑑別に難渋した症例を経験したので報告する.症例は78歳女性,右変形性膝関節症に対し近医にてTKA施行され術直後は経過良好であったが,術後3年で右膝痛と腫脹が出現,保存的に経過観察とされていたが徐々に増悪,術後7年でPJI疑いで紹介受診となった.採血データでCRP陽性・ESR亢進,CT・MRIにて膝蓋上嚢にリング状エンハンス,シンチグラムでの集積亢進を認めたが,関節液所見は細菌培養陰性,好中球数90/ul,分画11%,α-defensin陰性であった.関節液所見を重視するMSIS(Musculoskeletal Infection Society)のPJI診断基準5)に準じPJIを否定し再置換術を施行した.PJIの診断には関節液所見が重要である.

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© 2019 西日本整形・災害外科学会
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