2019 年 68 巻 1 号 p. 129-132
開大式高位脛骨骨切り術は内反変形軽度の膝関節症によい適応であるが,今までの骨切り術では膝拘縮があったり,PF関節症合併の患者に対しては適応外であった.演者はこの術式の適応を広げるべく,従来の方法とは異なる方法を考案した.脛骨粗面直上で関節面に平行に切骨ラインを定め,矢状面では遠位後方斜めに切骨する.直視下に完全に切骨し,内側を開大,膝伸展位で外反矯正し強固に内固定する.この方法により屈曲拘縮は改善,臨床上もよい結果が得られた.骨移植として膝関節内より骨軟骨移植キットを応用して円柱状の骨を採取,自家骨骨移植として用い,好結果を得た.術前後に全下肢CT再構築画像を用いて下肢アラインメントを評価したが,今後の膝周囲骨切り術前後の評価に汎用できると思われた.この術式により理論的にはPF圧も下がり,開大式高位脛骨骨切り術の適応を広げることができると思われた.