整形外科と災害外科
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先天性S1椎弓根欠損に同一部位の椎間孔内狭窄を合併した1例
山田 晋司中村 英一郎山根 宏敏邑本 哲平馬場 一彦舛本 直哉酒井 昭典
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2019 年 68 巻 1 号 p. 13-16

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抄録

腰仙椎の先天性椎弓根欠損は報告例の少ないまれな先天異常である.本症の手術例の報告はさらに少なく,同一部位に椎間孔内狭窄を合併したという報告はない.今回われわれはS1椎弓根欠損に同一部位の椎間孔内狭窄を合併し,手術を要した症例を経験したので報告する.症例:56歳女性.左下肢痛のため歩行困難となり受診した.CTで左S1椎弓根の欠損を認めた.さらに左L5下関節突起も欠損していたが,左仙骨上関節突起の過形成により左L5/S椎間関節を形成していた.MRIおよびCTMで左L5/S椎間孔内でのL5椎体の骨棘と後方成分の肥厚による左L5神経根の圧排を認めた.左L5/S椎間関節切除とL5/S1後方進入椎体間固定を行った.術直後より左下肢痛は消失した.結語:椎弓根欠損により椎間孔内面積が増大しても,変性にともなって神経根周囲に限局した椎間孔内狭窄が起こり得ることに留意する必要がある.

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© 2019 西日本整形・災害外科学会
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