整形外科と災害外科
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変形性膝関節症変化を有しない高齢者に対する鏡視下半月板切除術の検討
阿部 徹太郎坂口 満生田 拓也工藤 悠貴
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2019 年 68 巻 1 号 p. 143-145

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抄録

高齢者の鏡視下半月板切除術では術前の変形性膝関節症(以下OA)の程度により,術後成績が左右されるという報告が多い.今回,70歳以上の高齢者に施行した鏡視下半月板切除術のうち,術前X線評価でOA変化を認めなかった症例の術後成績を検討したので報告する.対象は当院で手術を施行した205例で,年齢は平均75.3(±4.38)歳,男性109例,女性96例であった.術後追跡期間は平均9.0ヵ月であった.受傷機転,Mc Murrey test,鏡視下での半月板損傷の形態,軟骨損傷のグレード,術後成績,追加治療の有無等について調査を行った.77例(37.6%)で外傷機転を有し,173例(84.4%)はMc Murrey test陽性であった.61例(29.7%)で鏡視下に軟骨損傷の合併を認めた.144例(70.2%)で術後症状の改善を認め,2例で術後TKAを施行した.軟骨損傷を伴っている症例では症状の改善率は低い傾向にあったが,人工関節等の追加治療を要する症例は少なかった.OA変化が乏しい高齢者の膝関節痛の原因として半月板損傷は考慮すべき重要な疾患である.

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© 2019 西日本整形・災害外科学会
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