整形外科と災害外科
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外傷性弾発肘の一例
竹山 文徳田中 祥継山本 卓明
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キーワード: 弾発肘, 輪状靱帯, 外傷性
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2019 年 68 巻 1 号 p. 160-162

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抄録

手指における弾発現象は日常診療でよく見られるが,肘関節での弾発現象を伴う弾発肘は比較的まれな疾患である.今回外傷を契機に発症した弾発肘の一例を経験したので報告する.(症例)45歳,男性.風呂場で転倒し左肘を強打.前医にて骨傷を認めず,2週間のシーネ固定となった.その後作業時の肘痛が残存し,数ヶ月後の再診時に弾発現象を認めたため当科紹介となった.当院初診時,肘関節伸展0°屈曲135°回内80°回外80°,内外反動揺性は認めない.回内外に依らず屈曲110°で橈骨頭周囲に疼痛を伴う弾発現象を認めた.単純X線,CTにて明かな異常所見を認めず.超音波検査では,肘関節屈曲時に腕橈関節前方で軟部組織が急激に肥厚する弾発現象が観察された.弾発肘と診断し受傷より約4ヶ月後に手術を施行した.腕橈関節を観察すると肥厚し硬化した輪状靱帯が嵌頓している状態であったため切除した.術後6ヶ月後の現在,疼痛及び弾発現象なく経過は良好である.

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© 2019 西日本整形・災害外科学会
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