整形外科と災害外科
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化膿性股関節炎の起因菌がアクネ菌であった一例
高橋 建吾小倉 雅堀之内 駿海江田 光祥松山 金寛田邊 史東郷 泰久谷口 昇
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2019 年 68 巻 1 号 p. 40-43

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抄録

近年整形外科領域においてアクネ菌が人体に様々な影響を及ぼしていることが指摘されている.今回アクネ菌による化膿性股関節炎の症例を経験したため報告をする.【症例】大理石病を有する66歳女性.約20年前に左股関節インプラント手術後にMRSA感染を発症した既往があった.左股関節痛を主訴に当院を外来受診.MRIにて左股関節周囲に巨大膿瘍を疑う所見を認めた.またCRP31.1mg/dlと高値であったため排膿,洗浄処置を施行した.既往からMRSAによる感染が考えられたためバンコマイシン入りセメントビーズを局所に充填する処置を行った.しかしその後の培養結果ではアクネ菌のみが検出された.当初はcontaminationを疑うもMRSAは全く検出されなかったためアクネ菌による化膿性股関節炎の診断でセメントビーズの除去,抗生剤を変更して投与したところ感染は鎮静化するに至った.

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© 2019 西日本整形・災害外科学会
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