整形外科と災害外科
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緊急手術として観血的骨接合術を行った小児上腕骨顆上骨折の検討
尾上 英俊中村 厚彦
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2019 年 68 巻 2 号 p. 206-211

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抄録

受傷当日に緊急手術として観血的骨接合術を行った伸展型小児上腕骨顆上骨折を検討した.対象は2003~2016年に当院で手術を行った10例(開放骨折3例,血管損傷を疑った6例,開放骨折+血管損傷を疑った1例)である.骨折型は全例Gartland分類typeⅢで,手術時年齢は平均7歳(2~13歳)であった.全例感染を起こすことなく骨癒合しcarrying angleは平均170°(165~180°)であった.受傷機転は比較的高エネルギー外傷で,開放骨折例では骨折が粉砕されていた.血管損傷を疑った症例では,血管に対する牽引や圧迫を解除し骨折を整復することで血流は良好に再開した.徒手整復を試みた3例では骨折部に介在物があり血行障害の原因となっていたことより,2014年以降は手術瘢痕が目立ち難い肘関節皮線に沿った前方横切開で骨折部を展開し神経血管束を確認してから観血的骨接合術を行う方針とした.

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© 2019 西日本整形・災害外科学会
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