整形外科と災害外科
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母趾屈筋腱腱鞘より生じた腱鞘巨細胞腫の1例
坂井 達弥田中 博史杉野 晴章田島 智徳角田 憲治石井 英樹浅見 昭彦
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2019 年 68 巻 2 号 p. 216-218

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抄録

母趾屈筋腱腱鞘より生じた腱鞘巨細胞腫を経験したので報告する.15歳男性.3年前より右母趾に腫瘤を自覚した.増大傾向あり軟部腫瘍指摘され加療目的に紹介となった.1,2趾間部に3 cm大の腫瘤あり,母趾は背屈位で底屈制限され外反位であった.圧痛や神経症状はなかった.XpではHV角27度で骨浸潤はなかった.MRIで母趾屈筋腱腱鞘を起始とし背側まで全周性に生じるT1で均一高信号,T2でモザイク状に高信号の30×30×50 mmの腫瘤を認め,腱鞘巨細胞腫が疑われた.一括切除を計画し底側からのアプローチにより神経血管束を温存した腫瘍展開を行った.術後に皮膚・神経障害なく,母趾の可動域は改善した.腱鞘巨細胞腫は組織肥大を特徴とし,隣接する骨を侵食・破壊する場合がある.約7%が足部・足趾に生じるとされ,ADL制限を認める際は手術を要す.審美面と機能温存に注意し,一括切除が可能なアプローチを実施する必要がある.

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© 2019 西日本整形・災害外科学会
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