2020 年 69 巻 1 号 p. 18-19
人工股関節全置換術時に採取した34骨頭の重さを計測したところ,平均79.2±15.5(27~110)gで,原疾患,身長の影響を受けることが分かった.大腿骨コンポーネントは,製造会社の情報と再置換術時での摘出物で検討した.標準ステムの重さは,チタン製のものが約100g,コバルトクローム製のものが約150gと材質により違いが明らかで,加えてサイズを1サイズ大きくすると約10g重たく,ロングステムにすると更に重たくなった.標準の骨頭コンポーネントの重さは,コバルトクローム製の径28ミリが71g,径32ミリは115gで,セラミック製のものはその半分の重さであった.サイズの違いのみならず材質の違いも骨頭の重さに大きく影響した.人工股関節の重さに関しては,これまで論文やパンフレットに記載がない.重さに違いが臨床成績に関与するならば,新たな興味深い視点が生まれることになる.