整形外科と災害外科
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静脈血栓塞栓症に対する抗凝固薬の術前休薬中に脳梗塞を生じた1例
末永 英慈住吉 康之髙田 真一
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2020 年 69 巻 2 号 p. 290-293

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抄録

肺血栓塞栓症と深部静脈血栓症を生じた静脈血栓塞栓症に対する抗凝固薬の術前休薬中に脳梗塞を生じた1例を経験したので報告する.症例は84歳男性.左足関節骨折に対し,骨接合術を予定.静脈血栓塞栓症の既往があり,ワルファリン2.5 mg内服中であったため,エドキサバン30 mgへ変更.術前の心エコー,下肢エコー,造影CTではいずれも血栓を認めなかった.術前々日より抗凝固薬は中止した.術当日の朝より,意識レベル低下,左顔面麻痺,左半側空間無視が出現,頭部CT・MRIにて右前頭葉に急性期脳梗塞所見を認めた.ただちに抗凝固療法を再開した.骨折に対しては,保存治療を選択した.発症後5か月,介助下の杖歩行可能となった.侵襲的処置はエドキサバン投与後24時間以上経過した後に行うことが望ましいとされるが,休薬中に重篤な合併症を生じる可能性があることを留意すべきである.

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© 2020 西日本整形・災害外科学会
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