整形外科と災害外科
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嚢胞性変化を伴った馬尾神経鞘腫の2例
緒方 亜紀藤原 将巳高岸 憲二齊田 義和宮岡 健小松 孝杉田 敏明松本 嘉寛
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2020 年 69 巻 4 号 p. 810-813

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抄録

【目的】神経鞘腫は充実性や嚢胞性など様々な形態を取る.今回嚢胞を伴った馬尾神経鞘腫を2例経験したため報告する.【症例1】42歳女性,6年前より右臀部痛が出現.MRIにてL4/5高位にT1 low,T2 high,造影にて壁のみ増強される嚢胞性病変を認めた.手術にて馬尾神経を温存し可及的に腫瘍を切除し,病理診断は神経鞘腫であった.術後疼痛は消失し,2年後のMRIでも再発を認めていない.【症例2】58歳男性,2ヶ月前から腰部~左大腿後面の疼痛を認め受診.MRIにてL5高位にT1 low,T2 high,造影にて壁のみ増強される嚢胞性病変を認めた.手術にて馬尾神経を温存し腫瘍を可及的に切除した.病理診断は神経鞘腫であり,術後症状は改善した.【考察】嚢胞を伴う神経鞘腫は単純MRIでは腫瘍内部と髄液がisoとなるため,MRIで描出困難となることがある.その場合も造影MRIや脊髄造影検査を行うことでより正確な診断を行うことができる.

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© 2020 西日本整形・災害外科学会
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