整形外科と災害外科
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胸椎後縦靭帯骨化症術後の繰り返す麻痺に対し長期ドレナージを行った1例
松永 英人福田 和昭水溜 正也井上 哲二畠 邦晃田上 学荒木 崇士立山 誠阿部 靖之
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2020 年 69 巻 4 号 p. 817-820

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抄録

【はじめに】脊椎の術後に麻痺を呈し,MRIで硬膜外の液体貯留を認めた場合,通常術後血腫が疑われ多くは5日以内に発生するとされる.また頻度は少ないが,偽性髄膜瘤や硬膜外膿瘍も鑑別に挙がる.今回我々は,胸椎後縦靱帯骨化症(OPLL)に対し,術後10日以上が経過してから麻痺を呈し2度の再手術と長期のドレナージを要した症例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.【症例】44歳女性,BMI 38.1,1年前より両下肢の痺れ痛みを認め,筋力低下が進行し当科を紹介となった.Th1-4のOPLLを認め,椎弓切除術+後方固定術を施行した.術後11日目に麻痺が出現し再手術を施行,再手術後12日目に再度麻痺が出現し再々手術を施行し軽快した.いずれもMRIにて創部の液体貯留を認めた.術中髄液漏の所見は認めなかった.再々手術後も液体貯留が持続し26日間のドレナージを要した.【考察】胸椎OPLLでは,術後多量の浸出液により麻痺をきたす可能性が考えられた.

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© 2020 西日本整形・災害外科学会
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