整形外科と災害外科
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狭心症様の左前胸部痛で発症した胸椎転移の1例
松尾 拓横山 良平横山 信彦
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キーワード: 狭心症, 転移, 胸椎
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2020 年 69 巻 4 号 p. 825-826

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抄録

【はじめに】狭心症様の左前胸部痛が初発症状であった胸椎転移の1例を経験したので報告する.【症例】患者は76歳男性で去勢抵抗性前立腺癌加療中による右大腿骨近位部骨転移の病的骨折に対して,右大腿骨近位部置換術を施行した.術後8日目の夜間及び朝方に15分程度の前胸部痛を生じた.心電図・心エコーでは明らかな器質的疾患を認めなかったが,その後も頻回に症状があり,冠攣縮性狭心症の診断で内服薬治療を開始した.しかし改善がなく胸椎転移の可能性を念頭に診察を行うと背部に叩打痛があった.MRIにてTh5の棘突起の転移があり脊髄圧迫を伴っていた.第5胸椎に対して放射線治療を行ったところ,胸痛症状は改善した.【考察】狭心症様の前胸部痛を呈する患者では虚血性心疾患以外にも胸椎疾患の可能性に留意することが望まれる.

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© 2020 西日本整形・災害外科学会
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