2020 年 69 巻 4 号 p. 869-870
【はじめに】後十字靭帯温存型TKA(CR-TKA)において,術中にPCLの張力を調整する参考指標は明らかになっていない.90°屈曲位Rollback実値とFlexion Gap値を測定し,術中指標になりうるか,相関するのかを調査したため報告する.【方法】平成29年9月から平成30年5月までにZimmer Biomet社製Vanguard CRを使用した72例124膝(男性20膝,女性104膝)を対象とした.【結果】Rollback値の平均は14.3±3.2 mm(6~21 mm),Rollback実値は63.0±7.4%(42.8~80.0%)であった.Flexion Gap値(テンサー値)は平均9.8 mm(8~16 mm)であった.【考察】CR-TKAにおいて,90°屈曲位Rollback実値とFlexion Gap値は負の相関にあった.【結論】術中にRollback値・Flexion Gap値を計測することでPCLの張力を推定し術中に良好な可動域を得ることができた.