整形外科と災害外科
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脆弱性骨折患者における25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]の検討
内藤 東一郎石倉 透近藤 秀臣福原 志東赤星 正二郎有田 忍馬場 賢治塚本 学沖本 信和
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2021 年 70 巻 2 号 p. 205-208

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抄録

高齢骨粗鬆症患者の多くがビタミンD欠乏症であるとされる.しかし,実際の脆弱性骨折患者における25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]がどの程度の値を呈しているかについて報告した論文は少ない.そこでわれわれは,血中25(OH)D濃度を測定した脆弱性骨折患者について調査した.2017年4月から2018年4月まで血中25(OH)D濃度を測定した60歳以上の患者のうち脆弱性骨折(脊椎椎体骨折,大腿骨近位部骨折,橈骨遠位端骨折)を来した経験のある178例を対象とした.年齢,性別,腎機能,血中カルシウム濃度,血中アルブミン濃度,脆弱性骨折の種類,活性型ビタミンD3製剤内服の有無を調査した.血中25(OH)D濃度は平均13.3 ng/mlであり,患者の多くがビタミンD欠乏の状態であった.血中25(OH)D濃度は年齢と負の相関を,血中アルブミン濃度と正の相関を認めた.骨折型では,脊椎椎体骨折と大腿骨近位部骨折の経験のある症例(橈骨遠位端骨折はない)は大腿骨近位部骨折単独および橈骨遠位端骨折単独に比べて,血中25(OH)D濃度が有意に低値であった.

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© 2021 西日本整形・災害外科学会
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