2021 年 70 巻 2 号 p. 233-235
はじめに:中足部骨折の頻度は0.45%とされ稀な骨折である.当科で経験した中足部での骨折について報告する.対象:症例1は42歳男性,警備員.1 mの段差を飛び降り足部を捻って受傷した.距骨頭が内方に脱臼し立方骨の骨折を認めた.内側column長の整復,固定のため創外固定を設置し立方骨をスクリューと鋼線で内固定した.症例2は70歳男性,運送業.軽トラック同士の正面衝突で座席に右足を挟まれて受傷した.踵骨の踵立方関節面の粉砕,舟状骨と内側楔状骨の骨折を認めた.内外側column長を維持するため創外固定を設置して腫脹改善まで待機し,踵骨から第4中足骨までのbridging,舟状骨と内側楔状骨の骨接合を行った.考察:中足部骨折では内外側column長を整復することが重要であり,踵立方関節などの可動域の小さい関節は固定の適応となることもある.結語:中足部骨折では受傷機転と画像所見から内外側columnの損傷を判断し,適切な処置を行うことが重要である.