2021 年 70 巻 2 号 p. 304-307
【はじめに】人工膝関節全置換術(TKA)術後の周術期管理における術中関節周囲多剤鎮痛カクテル注射の鎮痛効果,リハビリ経過に関して検討した.【対象と方法】2017年5月から2018年10月までにTKAを施行した35膝(追加群:カクテル術中+術翌日投与)と2014年12月から2016年5月までにTKAを施行した35膝(追加なし群:カクテル術中投与のみ)を対象とした.検討項目として,術後VAS scale,術後ROM,歩行開始までの日数,術翌日以降の鎮痛薬頓服の使用回数,入院日数とした.【結果】追加群において,術後VAS scale(翌日追加カクテル投与後・7日目),術後ROM(翌日追加カクテル投与後・3日目・7日目)は有意に改善し,歩行器見守りまでの日数,術後3日目までの鎮痛剤頓服の使用回数も有意に少なかった.【考察・結論】追加カクテル注射により術後早期のROM獲得,VAS scaleの改善を認め,早期離床や術後鎮痛薬使用の減少に繋がったと考えられた.