整形外科と災害外科
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変形性膝関節症におけるデュロキセチンの効果:中枢感作を有する群との比較検討
久米 慎一郎原口 敏昭山木 宏道林田 一友後藤 昌史大川 孝浩志波 直人
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2021 年 70 巻 4 号 p. 666-668

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抄録

【はじめに】膝OA患者のなかで,中枢感作の有無によるデュロキセチン(DLX)の効果を検討したので報告する.【対象と方法】2017年11月からDLXを新規投与した43例を対象とした.DLXは全例20 mgを朝食後から開始し,評価は投与前と投与後平均3.2週に行い,評価項目は,NRS(Numerical Rating Scale)とJKOM(Japanese Knee Osteoarthritis Measure)で検討し,中枢感作の指標としてCSI(Central Sensitization Inventry)を用い,30点以上を中枢感作ありとして,中枢感作の有無によるJKOMの改善率を評価した.【結果】投与後のNRSは5.13に改善し,JKOMはVAS及び各項目全体は改善した.また,中枢感作なし群でのJKOMの点数に変化はなかったが,中枢感作あり群での改善率はすべての項目で中枢感作なし群より有意に高かった.【考察】DLXは膝OA患者に一貫した有効性を示し,特に中枢感作を疑う例では効果が大きく,除痛及びQOL改善に寄与する可能性が示唆された.

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© 2021 西日本整形・災害外科学会
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