2024 年 73 巻 3 号 p. 406-408
【目的】腰椎椎弓切除後に馬尾嵌頓を認めた1例を経験したので報告する.【症例】73歳,女性.20年前より腰痛あり近医を通院していたが徐々に下肢症状が出現したため当院紹介となった.MRI検査でL2/3/4に中心性狭窄を認め,椎弓切除術を施行.L2/3除圧の際に右外側陥凹部でpin hole状の硬膜損傷を認めた.ボルヒール®にて処置したが,術後3日目に右下肢外側(L5領域)に痺れ,疼痛が出現し再手術を行った.硬膜損傷部位から馬尾の嵌頓を認めた.馬尾を還納後,損傷部位を縫合し修復した.術後下肢症状の改善を認めた.【考察】硬膜損傷後の馬尾嵌頓の報告は比較的稀である.術中に明らかな硬膜損傷がみられなくても術後に髄液漏と下肢に神経症状が生じる場合は馬尾嵌頓を疑う必要がある.