日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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今月のテーマ : 消化管癌分子標的治療の新展開
膜輸送体 (トランスポーター) を標的とした新規薬剤について
秋山 伸一
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2004 年 101 巻 1 号 p. 9-17

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抄録

抗がん剤に耐性な腫瘍の出現は癌の化学療法を行う上で大きな障害となっている. 抗癌剤に耐性を示す腫瘍細胞では, 抗癌剤の蓄積が減少していることが多く, 抗癌剤排出機能の亢進が観察される. 多剤耐性を示す細胞にP-糖蛋白質, MRP1, BCRPなどのABCトランスポーター, ATP7BなどのABCトランスポーター以外のトランスポーターが抗癌剤を含む低分子物質を細胞外へATP依存性に輸送することが明らかとなった. これらの各々のトランスポーターの輸送機能を阻害して耐性を克服する薬剤が見い出され, 臨床での効果が試されている.

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© 2004 (一財) 日本消化器病学会
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