2005 年 102 巻 10 号 p. 1321-1326
患者は78歳の女性.15年前に左上顎歯肉部の悪性黒色腫の手術の既往あり.胆道系酵素優位の肝障害のため入院.腹部超音波検査で肝内に多発する嚢胞性病変あり,CTで嚢胞内に液面形成と,嚢胞壁に造影効果を認めた.肝生検を行い,悪性黒色腫と診断した.左副腎,頸部リンパ節,胸椎にも同様の病変が見られたが,全身の皮膚,上顎歯肉部,消化管,眼窩に原発巣はなかった.本症例は悪性黒色腫術後15年目に転移再発した点,嚢胞様の肝転移をきたした点で極めて貴重な症例であり報告する.