日本消化器病学会雑誌
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総説
肝癌における肝移植
幕内 雅敏菅原 寧彦
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2005 年 102 巻 3 号 p. 285-288

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抄録

肝細胞癌に対する肝移植では,腫瘍数,腫瘍最大径,血管浸潤の有無が予後を決定する.欧米における脳死肝移植では,ミラノ基準を満たすものを概ね適応としている.本邦での脳死肝移植でも同様の基準であるが,脳死ドナーが少ない状況が続いており,脳死肝移植は治療手段としては限定的な役割にとどまっている.一方,生体肝移植は,本邦では2003年12月まで,2669症例が施行されている.そのうち316例は肝細胞癌症例を対象としたものであった.これらの症例の1年,3年生存率は,それぞれ,78%,69%となっている.2004年1月より肝細胞癌でもミラノ基準を満たすものであれば生体肝移植が保険適応となり,今後はますます症例数が増加していくことが予想される.

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© 2005 (一財) 日本消化器病学会
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