自己免疫性膵炎は高頻度に膵外病変を認める.胆管狭窄は90%の症例にみられ,多くは下部胆管であるが,上部胆管や肝内胆管に狭窄を呈した症例では原発性硬化性胆管炎との鑑別が困難である.唾液腺腫大や唾液腺機能低下例では,シェーグレン症候群の合併として報告されることが多い.その他の合併病変としては,後腹膜線維症,リンパ節腫大,閉塞性静脈炎,門脈閉塞,肝炎症性偽腫瘍,胆嚢壁肥厚,胃潰瘍,十二指腸乳頭部腫大,間質性腎炎,間質性肺炎,免疫性血小板減少症,味覚障害,嗅覚障害,涙腺腫大,甲状腺機能低下症などが報告されている.これらの合併病変の多くはステロイドが著効し,各臓器は膵病変と類似した病理組織像を呈し,さらに本症に特異的な多数のIgG4陽性形質細胞の浸潤を認めた.