2005 年 102 巻 3 号 p. 296-302
自己免疫性膵炎は当初,特異な膵管像を呈する膵炎として報告され,臨床像の検討より免疫学的機序の関与が推測された.本邦を中心に報告例が集積し,臨床像の詳細が明らかとなってきた.本症の大きな特徴は,病態にIgG4という特殊なIgGサブクラスが関与していることである.約90%の症例で血症IgG4値の上昇を認め,関連する他疾患ではほとんど上昇を認めず,特異性に優れ,診断に有用である.特に膵癌との鑑別に有用である.IgG4はまた疾患活動性を反映しており,病態の把握にも有用である.本症のもう一つの特徴として多彩な膵外病変の合併がある.IgG4免疫染色などの病理学的検討により,これらの膵外病変も膵病変と同様の病態が背景に存在することが明らかになってきた.