2005 年 102 巻 8 号 p. 1010-1024
医療機関を受診した初診外来患者および初回内視鏡施行患者に対する患者アンケートと内視鏡検査により,胸やけ・逆流性食道炎に関する全国規模の調査を実施した.胸やけは4723例中42.2%にみられ,このうち内視鏡検査を施行した3608例中16.7%にgrade A以上の逆流性食道炎を認めた.胸やけの誘因は脂肪や甘味食摂取および消炎鎮痛薬,喘息薬の服用が示された.胸やけの頻度と食道炎の重症度は必ずしも一致しなかったが,弱い相関がみられた.一方,胸やけ症状がありながら内視鏡所見のない内視鏡陰性GERDの存在も示唆された.今回の胸やけ・逆流性食道炎の頻度は欧米の報告と同様に高いことが示され,今後も定期的にGERDの実態に関する調査を継続する必要があると考えられた.