2006 年 103 巻 11 号 p. 1223-1232
胃食道逆流症のうち,非びらん性逆流症(nonerosive reflux disease;NERD)が半数以上を占め,その中には酸分泌抑制薬を用いても症状の改善がみられない患者群が少なからず存在する.酸分泌抑制薬抵抗性NERDはその病態により,生理的範囲内ではあるが逆流した酸が関与する群,酸以外の逆流に起因する群,逆流が全く関与しない群に分類され,後2者は機能性消化管障害(Rome III)における酸逆流が関与しない「機能性胸やけ」に相当する.病態に応じて薬物療法(酸分泌抑制薬の増量,消化管運動機能改善薬,向精神薬など)から逆流防止手術などが試みられているが,有用性のさらなる検証が必要である.