日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
症例報告
動脈塞栓術にて救命し得たhemosuccus pancreaticusを呈した胃十二指腸動脈仮性動脈瘤破裂の1例
松本 逸平上田 隆味木 徹夫安田 武生藤田 恒憲藤野 泰宏鈴木 康之黒田 嘉和
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2006 年 103 巻 12 号 p. 1397-1402

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抄録

症例は55歳男性,常習飲酒家.2005年5月,意識消失にて近医へ救急搬送された.貧血を指摘され,上部消化管内視鏡検査を施行した所,十二指腸Vater乳頭から少量の出血を認めた.以後精査予定であったが第3病日,突然大量下血をきたし出血性ショックに陥った.腹部単純CTで膵の石灰化と膵頭部に径20mmの淡い高吸収域を認め,造影CTでは内部に強く造影される領域を認めた.膵仮性嚢胞内への仮性動脈瘤破裂と診断され,当院へ紹介となった.腹部血管造影検査では胃十二指腸動脈に径15mmの動脈瘤を認め,これに対し経カテーテル的動脈塞栓術を施行した.術後再出血や瘤の再発は認めず,術後9カ月目に施行したERCPでは主膵管と交通する動脈瘤塞栓部位に一致する仮性嚢胞を認めた.アルコール性慢性膵炎に合併した仮性動脈瘤が嚢胞内へ穿破し,hemosuccus pancreaticusを呈したものと診断した.

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© 2006 (一財) 日本消化器病学会
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