2006 年 103 巻 3 号 p. 283-289
±出血性消化性潰瘍に対しクリニカルパス(以下パス)を試作導入し,その有用性と問題点について検討した.内視鏡検査にて出血性消化性潰瘍と診断され,内視鏡的止血術が施行された症例のうち,入院後特に併存疾患の治療を必要としない症例をパス適応例とした.パス適応率は78.8% (89/113),バリアンス発生率は13.5%(12/89)であった.平均在院日数はパス導入前10.0±4.6日(mean±SD),パス導入後7.4±2.9日と有意に短縮された.出血性消化性潰瘍のパスは安全で,入院期間の短縮,医療費の軽減などに寄与した.高齢者にもパス使用可能であったが,潰瘍以外のバリアンス発生率が高かった.