2007 年 104 巻 3 号 p. 364-372
千葉県富浦町は,平成3年度の住民検診によりC型肝炎多発地区であることが判明した.当地区において,検診を機に長期経過観察されたHCV抗体陽性者の集団における検討を行った.検診で発見されるHCV抗体陽性者における肝細胞癌の発現と予後に関する臨床的特徴を明らかにすることを目的とした.平均観察期間9年で171例中23例(13.5%)に肝細胞癌が発現した.肝細胞癌の発現には性別,初診時のASTとALT値,血小板数,初診時の腹部超音波所見,および肝障害変動の型別が関与していた.11例に5年以上の長期生存を認めた.生存期間には,初診時のAST,発現時の背景肝超音波所見および肝障害変動の型別が関与していた.