日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
症例報告
脾原発炎症性偽腫瘍の1例
石川 達牛木 隆志冨樫 忠之渡辺 孝治関 慶一太田 宏信吉田 俊明上村 朝輝武者 信行坪野 俊広酒井 靖夫武田 敬子石原 法子
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キーワード: 脾原発炎症性偽腫瘍, CRP
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2007 年 104 巻 3 号 p. 407-412

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抄録

脾炎症性偽腫瘍(inflammatory pseudotumor)の1例を経験したので報告する.症例は59歳男性,CRP持続陽性精査のため,腹部CT施行.CT検査にて脾に単純で低吸収,造影にて脾実質より相対的に低吸収となる腫瘤性病変を認めた.MRI検査ではT1強調,T2強調ともに内部に一部高信号をともなう低信号の腫瘤像を呈した.血管造影でも悪性所見に乏しく,無症状であるが,CRP上昇の原因と考え,また,悪性リンパ腫の可能性が否定しきれず治療的診断的意義を兼ねて,脾臓摘出術を施行した.病理組織学的に脾炎症性偽腫瘍と診断した.脾炎症性偽腫瘍は極めてまれであり,悪性腫瘍との鑑別診断が困難である.確定診断は術後の病理組織診断によるため,脾臓摘出が治療的意義と同時に診断的意義を有し,予後も良好である.

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© 2007 (一財) 日本消化器病学会
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