日本においては,食習慣の欧米化とともに生活習慣や生活環境が大きく変化しており,これにともなってメタボリックシンドロームなどの疾患が増加している.一方,食事·生活環境の変化はHelicobacter pyloriの感染を減少させ,胃酸分泌を増加させ,さらには食道の逆流防止機能やクリアランス能を低下させている.またメタボリックシンドロームに関係して発症する疾患に対して頻用されるアスピリン,カルシウム拮抗薬,亜硝酸薬は上部消化管の生理機能を障害することがある.酸関連疾患のうち消化性潰瘍は全体としてみれば減少しているが出血を合併しやすいアスピリン/NSAIDS潰瘍は減少せず,逆流症患者は著増し日本の酸関連疾患が欧米化しているといえる.