日本消化器病学会雑誌
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総説
ヘリコバクター·ピロリと胃癌
畠山 昌則
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2007 年 104 巻 5 号 p. 635-643

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抄録

胃癌は全世界部位別癌死亡の第2位を占め,年間約70万人が胃癌で命を落としている.近年の研究からヘリコバクター·ピロリ(ピロリ菌),中でもcagA陽性ピロリ菌の持続感染が胃癌発症に重大な役割を果たすことが明らかとなり,胃発癌プロセスにおけるピロリ菌の役割を分子レベルで解明する研究が現在活発に展開されている.cagA遺伝子産物であるCagAタンパク質はピロリ菌体内から胃上皮細胞内へと直接注入され,発癌プロセス進行に関わるさまざまな細胞内シグナル伝達異常を引きおこす.本研究では,初の細菌由来癌タンパク質と考えられるCagAの細胞内標的分子ならびにその下流シグナルの本態,さらにはCagAが示す分子多型と発癌活性に関する最新の知見を概説する.

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© 2007 (一財) 日本消化器病学会
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